今ではすっかりお馴染みとなった本屋大賞が開設して以来、今年で15年目を迎えます。
昨年は恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」が受賞して話題になりました。
ニュースや雑誌に取り上げられて、映画化・ドラマ化を期待する声も上がっていました。
このように何かと受賞作品が話題になる本屋大賞はいったいどのような賞なのでしょうか?
今回は本屋大賞の決め方や基準から、やらせや批判などの噂についても検証していきたいと思います^^
本屋大賞とは
そもそも本屋大賞とは、略式名称です。
正式には「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本 本屋大賞」と言います。
本屋大賞は、“書店で働く書店員が投票する”ことで受賞作品が選ばれます。
対象は過去1年間に刊行された小説、オンライン書店を含めた新刊書が刊行される書店の書店員です。
基本的には、書店員が読んだ本の中で、書店員自身がオススメしたい本を選択し、推薦します。
推薦された数ある候補の中から、審査を最後まで勝ち抜いた作品が本屋大賞を受賞します。
過去の受賞作品に、
小川洋子氏の『博士の愛した数式』、
リリー・フランキー氏の『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』、
伊坂幸太郎氏の『ゴールデンスランバー』、
湊かなえ氏の『告白』などの有名な作品があります。
また、本屋大賞は各部門に分かれており、本屋大賞(部門)、発掘部門、翻訳小説部門の3部門があります。
発掘部門は、既刊本の売り上げ向上を目指した賞です。
対象作品は過去1年以上前に刊行された既刊本です。書店員自身が今読み返して面白い普遍的な作品であると思った本に投票します。
こちらは、本屋大賞と異なり大賞はありません。
各作品の投票数に順位付けがされた表が発表されます。
ちなみに2016年から、実行委員会によって“超発掘本”という、ノミネートされた作品の中で特に推したい一冊が発表されます。
翻訳小説部門は、2012年に発足した部門です。
対象作品は、過去1年間で刊行された翻訳小説です。各書店員が3作品まで投票することができます。
その際その作品を推薦したが必要なのが特徴です。
こちらは本屋大賞同様に大賞が選ばれます。
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本屋大賞の決め方や基準について
本屋大賞は、NPO法人本屋大賞実行委員会が運営しています。
全国の新刊を扱う書店員が投票資格を持ち、現在投票資格を持つ書店員は1000人以上いるとのこと。
選考は一次投票・二次投票があります。
一次投票では、書店員は推薦したいと思った作品を3作品選択することができます。
この一次投票で上位10作品まで絞らます。
二次投票では、残った10作品をすべて読んだうえで各作品に感想を添えて順位付けをします。
この二次投票の投票結果で一番支持を多く獲得した作品が大賞に選ばれるのです。
さらに発掘部門や翻訳小説部門も、大賞と同時期に発表されます。
やらせなど批判もある?
元々、年々売り上げが下がる書籍の出版事情を考慮して発案された本屋大賞。
商品である本を取り扱う、つまり売り手側の存在でありながら、かつ読み手である読者に一番近い存在である書店員のフィルターを通して現場(書店)から本を活気づけようと開設されました。
そんな本屋大賞ですが、どうやら批判の声も上がっています。
医師で作家の海堂尊氏は、自身の公式サイトで本屋大賞を批判しており、
“本屋大賞は書籍の売り上げ低下傾向に拍車を掛ける”
“「本屋さんが一番売りたい本」として選ばれた作品の宣伝に書店が力を入れて百万部も売れる一方で、「本来なら平台に置かれるべき本がのりそびれた」”
“出版業界というものは本来、植林していかなければ滅びてしまうのに、本屋大賞は伐採商法なのです”
“「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本」というキャッチコピーが、大賞作品以外の本は「そんなに売りたい本ではない」というメッセ―ジになってしまう”
“読者が「本屋大賞受賞作だけ読めばいい」と判断する可能性がある”
“大賞候補になると「書店員が選んだ作家は素晴らしい」と印象づけるために、その後の作品も大手書店チェーンで優遇される”
との趣旨を述べています。
実際に、2013年に受賞した百田尚樹氏の『海賊とよばれた男』と僅差で2位になった横山秀夫氏の『64』は本屋の平台からすぐに撤去されたようです。
これでは、対象となった作品だけが注目されてしまいます。
その他の良作が見向きもされないという構図を作ってしまい、より売れる本とその他の作品にいっそう格差が生まれてしまいますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか
まとめると、
・本屋大賞は、斜陽傾向にある出版事情を考慮し、現場である書店から活気づけるために開設された
・本屋大賞部門、発掘部門、翻訳小説部門がある。受賞作は映画化されるなど人気作品となるものが多い
・売れる本と売れない本の格差を広げる恐れがあるので本末転倒との批判もある
最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。
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