第64回アカデミー賞で主要5部門受賞という偉業を達成したサイコ・スリラーの金字塔「羊たちの沈黙」。
謎めいたラストシーンの意味や、映画のメッセージ性についてご紹介します。
羊たちの沈黙のラストの意味とは?
FBI訓練生のクラリスは、精神科医でサイコパスの博士、ハンニバル・レクターの独房を訪ねます。
レクターは自分の患者9人を殺害し食べた罪で捕らえられ、厳重な警備の元精神病院に収監・隔離されていました。
クラリスがレクターを訪ねたのは、捜査中の事件をレクターの鋭い観察で分析させるためです。
レクターはクラリスの過去の話と引き換えに情報を提供します。
クラリスは幼い頃母親を亡くし、父親と2人で暮らしてきましたが、10歳の頃父親が殉職してしまいました。
引き取られた叔父の家で子羊の屠殺を目撃してしまったことがトラウマとなり、その後の人生に大いに影響を与えてきたようです。
レクターは正直にトラウマを語ったクラリスに心を開きました。
レクターとクラリスのやりとりが面白くない精神病院の院長・チルトン。
2人の会話を盗み聞いたチルトンは自分の手柄を立てるためにレクターを利用し、レクターは警備の緩い刑務所へ移送されることになりました。
隙をついて逃亡するレクター。
クラリスは無事事件を解決したものの、レクターからお祝いの電話を受け動揺します。
「子羊たちの悲鳴はまだ聞こえるか?」というレクターのセリフ。
これは事件を解決することによって被害者を救い、過去に救えなかった子羊への罪悪感を払
拭しようとするクラリスへの問いかけでした。
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羊たちの沈黙の終わり方は意味不明
レクターは「これから古い友人を夕食に…」と言ってクラリスとの電話を切ってしまいました。
レクターの視線の先には、レクターからの報復に怯え南米へ逃亡したチルトンがいます。
エンドロールでは逃げるチルトンと、チルトンを尾けていくレクター、そして2人が去った後の南米の街並みが写り続けました。
レクターは警護をつけ逃げ回るチルトンの先回りをして、空港で待ち伏せをしていたようです。
被害者を食べることを好む猟奇殺人鬼のレクター。
収監中レクターを見下し散々いたぶっていたチルトンをただ殺すのではなく、食べることを目的としていた、と推察されます。
最後のセリフは決して友人を食事に誘う、という意味ではなく、友人を食べるという意味を含んでいたのでしょう。
続編の「ハンニバル」でも詳細を語られることなく、「南米で行方不明」として扱われたチルトン。
意味不明に感じられたエンドロールでの南米の街並みは、この後のチルトンの運命を想像させることでより恐怖を増幅させるためのものだったと思われます。
映画で何を伝えたかったのか考察
猟奇的でインパクトのあるシーンが多く話題になった「羊たちの沈黙」ですが、フェミニズムという別のメッセージも多く含まれていました。
クラリスは男社会のFBIで好奇の目に晒されながら果敢に訓練を受けています。
女性であることでチルトンからセクハラ発言をされたり、事件のあった町の保安官たちの冷やかすような眼差しを浴びる等の嫌がらせがありました。
レクターの隣の房の男はクラリスをわかりやすく侮辱したため、レクターに責められ自殺に追い込まれました。
クラリスはめげることなく快挙を成し遂げ仲間から祝福されます。
クラリスを演じた女優のジョディ・フォスターはクラリスを「フェミニスト・ヒーロー」と呼び称賛したそうです。
まとめ
・ラストでレクターはクラリスのトラウマが払拭されたか問いかける。
・終わり方が意味不明に見えるのは、その後を想像に委ねることで恐怖を増幅させる撮り方だったため。
・サイコ・スリラーであると同時にフェミニズムというメッセージが含まれている。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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